プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(22=大橋)が今月1日に結婚したことが3日、分かった。相手は神奈川・相模原青陵高時代に同学年だった咲弥(さや)さん(21)で、約7年間の交際を実らせた。今月29日には、右拳の負傷から約1年ぶりの復帰戦となる初防衛戦が控える。新妻の支えも力に、日本ボクシング界の「怪物」が復活をアピールする。

 井上が勝負のゴングを前に、約7年間交際していた咲弥さんと結婚した。1日の午前中、神奈川・座間市役所に婚姻届を提出。「気配りもできるし、一緒にいて落ち着く。高校を卒業したときから結婚すると思っていた。夫婦になって負けられない気持ちもさらに増した」と、晴れ晴れと語った。

 出会いは相模原青陵高入学直後だった。クラスは違ったが、友人の紹介で知り合い、7月には井上から交際を申し込んだという。互いの家は徒歩10分の距離。両親を含めた家族ぐるみの付き合いで愛を育んできた。女優木村文乃似で、笑顔が印象的な咲弥さんは井上について「優しく、引っ張っていってくれる」。正式なプロポーズの言葉はもらっておらず「『結婚するの?』って、なぜか聞かれました(笑い)。彼をしっかりとサポートして、明るい家庭を作っていきたいです」と笑顔をはじけさせた。

 12月1日は、2人にとって何かの記念日というわけではない。咲弥さんは妊娠しておらず、「王座を防衛してから」という選択肢も考えられた。だが、井上には「気持ちを固める意味でも、けじめをつけてから復帰戦に臨みたかった」という強い思いがあった。

 昨年末に約12年間世界王座に君臨したナルバエス(アルゼンチン)を2回KOで下し、史上最速のプロ8戦目で2階級制覇を達成した。世界に衝撃を与えた一方で、右拳を負傷してキャリア初の長期ブランクを余儀なくされた。約1年ぶりとなる29日の防衛戦(東京・有明コロシアム)は、復活ののろしを上げる舞台。婚姻届を提出したのは、井上なりの「けじめ」だった。

 本場米国のプロモーターから来年の試合出場のオファーが届くなど、その拳には海外からも熱い視線が注がれている。守るべき家族が増え、「怪物」は一層、すごみを増していくに違いない。

 ◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。元アマ選手の父真吾さんの影響で小学1年からボクシングを始める。相模原青陵高時代に史上初のアマ7冠を達成し、アマ通算75勝6敗。12年7月にプロに転向し、国内最速の6戦目で世界王座奪取。14年12月に2階級制覇達成。163センチの右ボクサーファイター。家族は両親と姉、東洋太平洋スーパーフライ級王者の弟拓真。戦績は8勝全勝(7KO)。