大みそかに11度目の防衛戦を控えるWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志(36=ワタナベ)が、来春に元WBAフェザー級王者ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)と米国で対戦する可能性が浮上した。21日、所属先の渡辺均会長(65)が交渉を進めていると明言した。内山はこの日、同級6位フローレスとのV11戦に向けて都内のジムで練習を公開し、万全の仕上がりぶりをアピールした。

 内山が、来春に米国でビッグマッチを行う可能性が高まった。対戦相手の有力候補となっているのが、27戦無敗で、世界5階級王者ノニト・ドネアをKOして名を上げたウォータース。渡辺会長は、ウォータースが契約する米プロモート大手トップランク社とすでに交渉に入っているとし「今回の試合でけがをしなければ、決まるのではないか。可能性は高い」と明言した。

 かねて内山が希望してきた米国進出が現実的になったのは、万全のコンディションにある。11年1月のV3で負傷した右拳は、強打を控えることで昨年末のV9戦前に回復。また、長年苦しんできた左肘痛も、今年5月に手術を受けたことで痛みが消えた。同会長は「これまで海外をちゅうちょしていたのはけがの影響。フローレス戦でこれだけ強いんだと証明して、次の話に入りたい。態勢は整っている」と説明した。

 練習を公開した内山も、ウォータースは対戦を熱望してきた相手とあり「興味はすごくある」と思いを口にした。ただ、すべてはV11を果たしてこそ。「目の前の試合以外は考えない」と、大みそか決戦に集中した。公開したスパーリングでは、何度も左右の強打を打ち込むなど、万全の調整ぶりを披露。「どこにも痛みのない状態で戦えるのは5年ぶり。右が当たれば倒せる自信はある」と拳を握った。

 11度目の防衛に成功すれば、日本歴代単独2位となり、具志堅の最多記録へあと2つと迫る。これまで記録への思いは口にしてこなかったが「10度目をクリアして近いなと思った。ここまで来たからには、という思いはある」と更新にも意欲を示した。5年連続となる大みそかの大トリで存在感を示し、大勝負実現をアピールする。【奥山将志】

 ◆ニコラス・ウォータース 1986年1月4日、ジャマイカ生まれ。08年8月にプロデビュー。全勝で迎えた12年12月の22戦目でWBA世界フェザー級王座を獲得。14年10月のV3戦で、同級スーパー王者ドネアに6回KO勝ちし、王座統一に成功。今月19日にスーパーフェザー級での初戦を行うも、引き分けとなり、全勝が途切れた。