12年ロンドン五輪ボクシング銅メダルの清水聡(30=大橋)がプロテストに合格した。29日に東京・後楽園ホールで、前日本フェザー級王者細野悟(32)とスパーリング。メダリストの実力を発揮し、直後に6回戦出場可能なB級合格が発表された。9月のデビュー戦で韓国同級王者李寅圭と対戦も決定。13年に転向した金メダルの村田諒太(30)は世界挑戦が近づくが、清水は村田より先の世界王座獲得を宣言した。

 清水は右ジャブをついてスキを狙い左ストレートを打ち込む。細野の攻撃には上体をゆすり、足でかわす。最後は激しい打ち合いも見せ、実技テストのスパー3回を終えた。

 清水はすぐに合格証書を受け取った。即時の合格発表は村田以来だ。観客はいないが他の受験者や関係者がリングに注目していた。「選手が見ているので緊張した。飛ばしていった。無事受かったんでOK」とプロの第1歩を踏み出した。

 細野は同じフェザー級で4度目の世界挑戦を目指すジムメートも、初の手合わせだった。「さすがメダリスト。うまかったし、ごまかされた。テンポも速く、バズーカは不発。日本ランカーの力は全然ある」と評した。大橋会長は「3回だったので銅の実力が出た。細いがパンチは強く、身体能力は半端ない」と期待は大きい。

 9月4日にスカイアリーナ座間で、世界王者井上の前座でデビューする。相手は韓国フェザー級王者李と発表もされた。清水は「相手も決まって、新たな決意ができた」と話した。

 同い年の村田とは軽口をたたき合う仲で、メダルからベルトと同じ目標を目指す。村田は年内にも世界挑戦を狙うが、世界では中量級でマッチメークなども難しい。「井上君のベルトは重みがあった。絶対にとりたい。調子に乗ってる村田より先に世界王者になりたい。あとはベルトをなくさないこと」。メダルを一時紛失した騒動をジョークに、世界王者への決意を口にした。【河合香】

 ◆清水聡(しみず・さとし)1986年(昭61)3月13日、岡山・総社市生まれ。昭和中3年でボクシングを始め、関西高から駒大へ進学。04年国体バンタム級、07年の国体と全日本選手権フェザー級優勝。08年北京五輪フェザー級代表。12年ロンドン五輪バンタム級銅メダル。左ボクサーファイター。家族は両親と兄。179センチ。

 ◆プロテスト 16歳から受験可能。スパーリング形式の実技、計量、シャドーボクシングなどの試験と検診、ボクシングの知識を問う筆記試験で構成。1日のうちに、ペーパーテストと2、3回程度のスパーリングを行って合否を判定。通例では試験翌日に合格発表がある。A級ライセンス(8回戦以上)、B級(6回戦以下)、C級(4回戦)が設定されている。