ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が、年末の防衛戦への最高のカンフル剤を得た。25日、6階級制覇のマニー・パッキャオ(37)が東京・原宿にオープンするフィットネスジムの設立会見にゲストで登場。初対面だったが、「良い刺激をもらったので良い試合をしないと。アドバイスも頂けたので」と高揚気味に感謝した。

 スーツ姿にグローブをはめてミットにワンツーから打ち込み始めると、背後で視線を送るパッキャオから「フックを見せてほしい」のリクエストが入った。左右の拳を振ると、「もっと肘を上げて」と自ら左フックの模範を見せる。世界のスターへの飛躍が期待される日本の星に、フィリピンから世界的な英雄に駆け上がった先人が寄り添った。

 「あれがパッキャオの打ち方。パンチの軌道の問題ですね。引き出しにはなる」と井上。河野公平を迎える4度目の防衛戦(12月30日、有明コロシアム)への投入は「生かせる場面があれば」と慎重だったが、引き出しにしまった武器は最高級品には違いない。「同じアジアの人間。無理ではないと思わせてくれる」。言葉には強い実感がこもっていた。【阿部健吾】