「KO欲」封印で世界初挑戦につなぐ。ボクシングの帝拳ジムは1日、12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBO、IBF同級3位の村田諒太(30=帝拳)が、30日に東京・有明コロシアムで、元WBC米国同級王者ブルーノ・サンドバル(25=メキシコ)とミドル級10回戦を行うと発表し、都内のジムで会見した。17年に狙う世界タイトルの前哨戦。「KOしたい欲を抑えて、心を落ち着かせる」とテーマを掲げた。

 日本での試合は15年5月以来。「気になってしまう。良いところをみせようと」と過去戦を振り返る。KOへの期待から、会場には「倒せ!」の声も飛ぶ。金メダリストの使命感に、それが気負いになる時があった。「倒そうと思った時は判定ですね」。14年9、12月の2試合。国内での判定勝ちを思い返す。だから「心理状態を見極める」。

 約1カ月前の決定は、自らの希望だ。30日の興行のメインは、WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥の4度目の防衛戦。前座だった井上の弟拓真の世界初挑戦が、右拳の故障で中止に。「枠」が1つあき、「最初は冗談で『やってみたい』と言っていたら、機会をいただけた。ありがたい」と感謝する。

 16年は3戦3連続KO勝ち中。すべて「声が気にならない」海外で築いた白星で、21戦19勝(15KO)1敗1分けのメキシカンに勢いを保てるか。「KOを考えないで、結果的にKOできれば」と母国での一戦をにらんだ。【阿部健吾】