プロボクシングの東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチ12回戦が8日に東京・後楽園ホールで行われ、王者拳四朗(24=BMB)が3回1分57秒TKO勝ちで初防衛を果たした。威力向上の右カウンターを軸に同級3位レスター・アブタン(25=フィリピン)に快勝。父は寺地永会長(52)で、国内初の日本、東洋太平洋の2冠獲得親子。来年には世界初挑戦を見据える。日本バンタム級タイトルマッチは、王者益田健太郎(33)が2度目の防衛に成功した。

 童顔に笑みを浮かべ、拳がラッシュした。そこはかと怖さも感じる3回のTKO場面。相手の大振りの右フックを見切ると、しっかりと右を顔面にたたき込む。1分すぎにロープ際にくぎ付けにしてダウン奪取。追い打ちをかけ、「予想外の早さで終わった」とうれしい驚きの早期決着。「パンチ力ついたんですかねえ」。

 この2年、「山トレ」を続けてきた。ジムがある京都・宇治市の大吉山。標高100メートルの曲がりくねる山道で丸太を押し上げたり、四つんばいになって登ったり。毎日1時間の特訓に、父永さんは「小さい筋肉を鍛え、内部で筋肉を整えてきた」と成果をみる。8つに割れた腹筋も見事な息子は、宇治だけに「抹茶味のプロテインもうまくて」と助けになったという。

 「童顔と試合中のギャップで、応援してくれる人が増えれば」。この日の笑うラッシュはまさにその象徴。「来年は世界を見るだけ」とさわやかに宣言した。