ボクシングのWBC世界スーパーバンタム級王者長谷川穂積(35=真正)が9日、神戸市内で現役引退を表明した。世界王者のまま引退するのは国内では初めて。9月に5年5カ月ぶりに世界王座に返り咲き、現役を続ける考えもあったが、希望していた王者のままリングを去ることを決断した。今後は実業家や指導者への道を模索する。勇敢な打ち合いで魅了したレジェンドが、プロ17年間の現役生活に終止符を打った。

 会見で唯一、長谷川の目が潤んだのは、二人三脚で戦ってきた真正ジムの山下正人会長から花束をもらった瞬間だった。山下会長は「公園で練習したこともあったからね。最初から見てるから、寂しさ半分、ホッとした気持ち半分」。長谷川の今後については「実業家になっていくんやろうから、そこで成長してほしい」と期待していた。