読者が選ぶ第21回日刊バトル大賞はこのほど投票を締め切り、ボクシング部門の最優秀選手にWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が選ばれた。11~17日までニッカンスポーツコムで実施した投票で、45%と断トツの支持を得た。年間最高試合でも、昨年9月に7回TKO勝ちで11度目の防衛を果たしたアンセルモ・モレノ(パナマ)戦が受賞。17年は「倒すのみ」でのベストバウトを約束した。

 ファンの記憶も「神の左」が打ち抜いた。16年の1年間を対象にしての同時受賞に、山中は「周りからの評価は素直にうれしいですね。評価は自分で決めるものではないので」と喜んだ。

 3月に10度目の防衛を果たし、迎えたのが9月のモレノ戦だった。1年前の15年9月に辛くも2-1の判定勝ちで退けた元WBA世界バンタム級スーパー王者との再戦。決着戦は初回から、会場を沸騰させた。初戦と違い、いきなり攻勢に出た最強挑戦者から、カウンターの左フックでダウン奪取。4回には逆にダウンを喫したが、7回に得意の左で4度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めた。

 「インパクトのある試合だったのは確かですね」。そう述懐しながらも口にしたのは、「倒し、倒されというのがあったからでしょう」との冷静な弁。ボクサーとしての理想は当然違う。「やはり、できれば倒すのみで勝ちたいですよね」。今年は、その倒し方のみで衝撃を残したい。

 V12戦は今春に予定される。「前の試合の反省を直して、さらに上のレベルにと常に思っている」。具志堅用高氏の持つ13度連続防衛の日本記録も視界に入る17年。刺激的な左拳から目が離せない。【阿部健吾】