「ハワイアン・パンチ」が両国を沸かす-。ボクシングの主要4団体でベルトを手にしたブライアン・ビロリア(36=米国)が23日、3月2日に両国国技館でルーベン・モントーヤ(メキシコ)とスーパーフライ級8回戦で行う復帰戦に臨むために来日した。日本のリング初登場となるハワイ出身の元2階級王者は、「ファンの皆さんに楽しんでもらえる試合をしたい。終わったらフラダンスも踊りたいね」と笑顔で誓った。

 輝かしいキャリアを築いてきた。00年シドニー五輪に出場後にプロ転向し、01年にデビュー。05年9月にWBC世界ライトフライ級王座、09年にはIBF世界同級王座を。11年7月にはWBO世界フライ級王座を獲得し2階級制覇、12年11月にはWBA世界同級王座も手にした。自ら「ハワイアン・パンチを見てほしい」と自信を持つ、強烈なボディーブローは生命線。「いまの傾向では頭へのパンチが主流ですが、私はボディへのパンチにアートを感じている」とこだわり抜く宝刀が日本でも抜かれることになる。

 試合は15年10月、WBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレスと対戦して以来となる。3回にキャリア初のダウンを奪われるなどゴンサレスに攻められて9回TKO負けを喫したが、全階級を通して最強とうたわれる絶対王者に正面から打ち合う姿は多くの尊敬を生んだ。「持っている者を全て出せた」と敗戦にも得たものは大きかった。

 その後は2歳の息子タイラー君との時間を優先し、しばらくはリングを離れた。「ゴンサレス戦はタフだったし、エネルギーを充電する時間が必要だった。試合に戻りたいという意欲が沸くまで待ちました」。再始動したのは半年前。新たな挑戦にも足を踏み入れた。軽量級の世界に多くの強豪選手を輩出し続ける帝拳プロモーションと、今年1月に契約。「米国では軽いクラスの選手への注目度が低い。あまり試合も組まれないが、日本、アジアは違う」と再び世界王座を狙う道筋を見極めた。

 くしくも同プロモーションでは、ゴンサレスと同門となった。「グレート!」とひときわ声を大きくしたのは、ゴンサレスこそが軽量級の光となっているから。本場米国でもPPV放送のメインを張り、米リング誌の「パウンド・フォー・パウンド」(全階級を通じて最強)ランキングでも重量級を従えて1位に君臨する。「小さい階級の選手にもスポットライトを浴びられることを証明した。自分もそうなりたい」と重ねる。

 今後はフライ級を主戦場にしていく予定で、日本人選手との対決にも期待が集まる。「ハワイはバカンスだけの場所じゃなく、僕みたいな選手がいることもファンの人に見せたい」。最後には「アロハ」と報道陣にあいさつした36歳。両国のリングでも、「アロハ」なあいさつ代わりのファイトをみせる。