プロボクシングで初めて国内5階級制覇の湯場忠志氏(38)の長男海樹(かいき、18=都城レオ)が28日、東京・後楽園ホールの62・0キロ契約6回戦でデビューし、タイ人選手から計4度のダウンを奪った末に2回TKO勝ちした。2年前に父が引退式を行った会場で、高3でのプロ人生の出発に、「ホッとしています。試合前にはプレッシャーがあったけど、頑張れた」と安堵(あんど)の表情で振り返った。

 試合では父より優れると自負する右拳がうなった。初回からみぞおちを打ち抜くボディーを集中させて、TKOにつながった2回のダウンも右のボディーブロー。「差し込むイメージです。アマチュアの時は上ばかりでしたが、プロになって、お父さんと右、左のボディーを練習してきた」とさっそく成果をみせた。高1でボクシングを始めたが、右利きの右構えを1カ月後にサウスポーに変更した。左構えだった父の「左でやってみろ」の指示に取り組むと、「しっくりきた」と血筋を感じた。ただ、右利きの強さは消えずに、父になかったその武器が、父とは違う強みとなりそうだ。

 指導する父は「俺なら1回で倒していた」と辛口評価にも、目尻は下がった。海樹の目標は自身が果たせなかった世界王者。「お父さんができなかった目標があるから頑張れる」とプロ人生の門出を飾った。