ボクシングのWBA世界スーパーバンタム級9位久保隼(26=真正)が7日、神戸市内の所属ジムでスパーリングを公開した。

 世界初挑戦となる4月9日の同級王者ネオマール・セルメニョ(37=ベネズエラ)戦(エディオンアリーナ大阪)へ、上々の調整ぶりを披露。南京都(現京都広学館)高の先輩で、3月2日にWBC世界バンタム級王座12度目の防衛を飾った山中慎介(34=帝拳)の背中を追う。

 世界戦に向けたスパーリングは序盤段階。その中で久保の表情は生き生きとしていた。「これまで『距離を走らないとアカン』って思っていたけれど、それは自己満。終わって脚がしっかりとしていて『こういうことなんやな』と思いました」。今回の土台作りは“山中流”を選んだ。久保は世界戦に向けて準備する山中のニュース映像を凝視し、調整法を報じるスポーツ新聞の記事はスマートフォンのカメラ機能でパシャリ。イメージと資料を2月13~17日の淡路島合宿に持ち込んだ。

 合宿では午後の砂浜ダッシュを、従来の長さから70~80メートルに短縮。それぞれ15本ずつ、全力でこなした。「距離としては物足りないけれど、山中さんの『全力でやることに意味がある』というのを考えました」。新たな方法で足腰や瞬発力を鍛え、同23日からスパーリング練習を開始した。

 所属の山下正人会長はまだ、相手の映像を見ていないという。「走り込みの成果が出ている。まずは久保のボクシングを貫くことをやっていく」。「神の左」と称される山中の武器と同じく、サウスポーの久保も仕留めるのは左。そのため「右がいいから、左を打ち込める。右で距離感をつかむ。全てが右にかかっている」と会長。ここからようやく映像分析に入り、相手の特徴を意識した練習に取り組んでいく。

 世界戦が少しずつ迫っているが「自分のボクシングを貫くだけ」と久保は冷静なスタンスを示す。注目の一戦のチケットは、同ジム公式サイトなどで販売している。