元新日本プロレスの中邑真輔(37)が、ついに世界最高峰WWEの1軍昇格を果たした。4日(日本時間5日)、米フロリダ州オーランドで開催されたWWEの看板興行「スマックダウン」に電撃登場。バイオリンの生演奏による入場という破格の演出で、世界に昇格をお披露目された。昨年4月のNXTデビューから1年、中邑はスーパースターの仲間入りをした。

 初めてのスマックダウンには、ド派手な演出が待っていた。著名なバイオリニスト、リー・イングランド・ジュニアが場内のビジョンに映し出されると、中邑の登場曲「ライジング・サン」の演奏が始まった。サプライズが一瞬に大歓声に変わり、その中を中邑がゆっくりと入場してきた。

 中邑が1年間活躍してきたNXTの本拠地でもあるオーランドでのスマックダウン。NXTからの卒業と、スマックダウン出場=1軍昇格を中邑はかみしめていた。どよめきと大歓声の中で、リングに立ち、得意の決めポーズ「イヤァオ!」で、初登場のあいさつをした。

 中邑は「お客さんとコミュニケーションが取れたと感じました。そのくらい気持ちが良かったです。これから世界中にインスピレーションをぶちまける旅に出ようと思っています。(バックステージでは)みんなが『ウェルカム』と言ってくれたのが本当にうれしかったですね。バイオリニストのリーも来てくれて、最高の2年目の1歩が踏み出せました」とコメントした。

 あいさつだけの予定が、中邑の登場につっかかってきた元世界ヘビー級王者ドルフ・ジグラーと急きょ対戦。ジグラーを得意の膝蹴り「キンシャサ(ボマイェ)」で下し、早々とスマックダウン“初勝利”まで挙げてしまった。

 昨年4月のNXTデビューから1年。中邑は単なるルーキーから、WWEの新たなブランドといわれるNXTに欠かせない存在となっていた。2月の世界合同インタビューでは「ロースター(1軍)として日本に戻って来れればと思っています」と話していた。今年7月開催予定の日本公演へ凱旋(がいせん)帰国の夢も実現しそうだ。かねて「スマックダウンに昇格してAJスタイルズや、ジョン・シナ、ランディ・オートンと戦いたい」と希望していた新たなステージで、さらに光り輝く。【桝田朗】

 ◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)。1980年(昭55)2月24日生まれ、京都府京丹後市出身。青学大レスリング部から02年に新日本入団。同年8月に安田忠雄戦でデビュー。03年12月にデビュー最速、史上最年少でIWGPヘビー級王者。16年1月いっぱいで新日本を退団し、同2月にWWE入団。得意技はキンシャサ。188センチ、103キロ。

 ◆WWE ビンス・マクマホンが1963年に興したWWWFが前身。その後WWFに改称、02年に現在のWWEに。15年の売り上げは約738億円。WWEのテレビ番組を毎週1400万人の米国人が視聴。世界170カ国以上の国で、35以上の言語で放送されている。傘下のNXTを含め、約120~150人の選手が所属。このうち「ロースター」と呼ばれるトップ選手は20~30人。16年からは1軍がスマックダウンとローに分かれドラフトで所属選手を決定している。AJスタイルズ、ジョン・シナらが所属するスマックダウンは世界ヘビー級王者、ブロック・レスナー、ビル・ゴールドバーグらが所属するローはユニバーサル王者が頂点に立つ。