2012年ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの村田諒太(31=帝拳)が同級1位のアッサン・エンダム(33=フランス)に判定負けし、五輪メダリストでプロの世界王者となる日本初の快挙には届かなかった。

 村田は手数が少なかったことが響いた。序盤は前に出ながら圧力をかけ、エンダムにフットワークを使わせない。4回にはカウンターの右ストレートで、鮮やかにダウンを奪った。

 その後は右の強打を軸に見せ場をつくるも、やや詰めが甘かった。エンダムは左ジャブを多く放ったことが奏功した。疲労の色は濃かったものの、必死に持ちこたえた。

 ◆村田の話 この試合を組んでくれた方、ファンのために勝てなかったことが申し訳ない。もっと打つ場面があっても良かった。ダウンを取ったし、手応えはあった。(採点は相手の)ジャブを取ったということ。効いたパンチは一回もなかった。

 ◆エンダムの話 村田選手よりたくさんのラウンドを取っている自信があった。ダウンを奪われても、ジャブを使いながら距離を取って自分のリズムで闘えたのが勝因。

 ◆山中慎介(WBCバンタム級を12度防衛中の王者で村田の高校の先輩)の話 ジャッジに対してショック。何を言ったらいいか分からない。村田はしっかりブロックして、自分の良さを出せていた。

 ◆浜田剛史氏(元世界スーパーライト級王者)の話 採点にはびっくりした。村田はこれ以上ない出来だと思っていた。エンダムは手数が多かったけれど、村田はしっかりブロックしていた。

 ◆竹原慎二氏(元ミドル級世界王者)の話 自分の採点では5ポイント、村田君が勝っていた。すごく残念。王座を取るならば、村田君だと思っていた。勝ちに等しい負けだと思う。もう一度チャンスがあれば。

 ◆帝拳ジム・本田明彦会長の話 村田が勝っていた。相手は手数というよりも逃げていただけ。村田は完璧に闘うことができたので、無理に倒しにいかず、慎重になった部分はあった。ただ、負けは絶対にない。こういう判定ではボクシングの信用がなくなってしまう。