処分なければ再戦なし-。20日のWBA(世界ボクシング協会)世界ミドル級王座決定戦に不可解判定で負けた村田諒太(31=帝拳)について、帝拳ジムの本田明彦会長(69)が24日、WBAにジャッジの処分を求め、ない場合はアッサン・エンダム(フランス)との再戦交渉はしない考えを示した。現役続行に前向きな村田の元には他団体からのオファーも届いている。WBAの決断次第では他の選択肢を選ぶことになる。

 “被害者”として、不可解な採点への適切な対応を求める。本田会長は「処分が出ないなら、再戦は選択肢の1つにも入らない」と強い口調で言った。

 WBAのメンドサ会長は判定の誤りを認め、異例の謝罪をしている。当初22日にも村田側に届くはずだった再戦指令を求める正式通知は、25日の審判委員会の結論を経て送付される見込みだ。本田会長は、採点の検証などが行われる同委員会で、エンダムを勝者としたジャッジ2人を処分することを条件にした形。これまで同団体では前例がない公表も求め「悪意に満ちた採点。何もしないことは考えられない」と述べた。

 再戦に向けた他の「障害」はクリアしている。王座決定戦の勝者エンダムは、次戦は指名試合となり、当該者の同級4位ブラント(米国)が対象だが、同会長によれば「ブラントも判定がおかしいと怒っている。再戦の勝者と戦うことを条件に待つと言ってくれている」という。

 初黒星を喫したが、元世界王者相手にその実力の高さを証明したロンドン五輪金メダリストには、可能性が広がっている。WBC(世界ボクシング評議会)、WBO(世界ボクシング機構)の各会長から直々に参戦要請があり、世界再挑戦への選択肢は豊富だ。

 休養中の村田は進退を明らかにしていないが、同会長は「来週早々にも結論を出すのでは。やると思う」と見通す。世界の注目を受ける中、新たな動きがありそうだ。【阿部健吾】