「激闘王」がリングに帰ってくる。ボクシングの元3階級制覇王者八重樫東(34=大橋)が現役続行に前向きな姿勢をみせた。25日、横浜市内のジムで取材に対応。5月にIBF世界ライトフライ級王座3度目の防衛戦でメリンド(フィリピン)に1回TKO敗北後に進退を悩んできたが、復帰戦に傾いていると明かした。近日中に正式決定し、狙うのは日本初の4階級制覇。スーパーフライ級で再び世界王者を目指す。

 少しがっしりした体つきの八重樫が、心境を隠さずに口にした。「試合をするには覚悟が必要で。その覚悟を作らないといけないですが、(大橋)会長と話し合って決めたい。やりますと言えば、一緒になって戦ってくれると思う」。

 悩み抜いてきた。5月に初回TKO負け後、翌日には練習を再開も、原動力の悔しさが次第に消えた。「モチベーションも薄れて…」。体、家族の心配などが頭をよぎった。「もう1度頑張れるのか疑問を抱いた」。ここ1カ月はグローブもつけていなかった。

 ただ、気持ちはリングへと向かった。「先週からフィジカルをやり始めた」。体を動かす自分がいた。この日はジムが始めるクラウドファンディング企画の発表会見に出席したが、大橋会長からは「出るなら現役を続けないと」と求められた。「心のきっかけを探していた」と心は決まった。

 同会長は「止めるのも私の仕事」としたが、「復帰するなら4階級制覇。一発勝負でもそれしかない」と伝えた。八重樫も視線は同じ。少しがっしりした体は現在約60キロ。ミニマム→フライ→ライトフライと来て、2階級上のスーパーフライ級に照準を合わせ、肉体を作り始めた。

 拓大の先輩の前WBA世界スーパーフェザー級王者内山が近く進退を明らかにする見込みで、「お手本にしてきた。結論を見てから含めて考えたい」とした。正式表明は少し先になるが、「どこまでも挑戦するのが僕のスタイル」と新たな戦いを貫く。【阿部健吾】