ジャイアントスイングが11年ぶりに復活した。元プロレスラーで前文部科学大臣の馳浩(56)が26日、東京・後楽園ホールで行われた「プロレスリング・マスターズ」でリングに復帰。メインの6人タッグに登場すると、得意技ジャイアントスイングでザ・グレート・カブキを20回回した。最後は北斗原爆固めでTNTを破って試合を決め「夢は終わらない」と今後のプロレス継続もにおわせた。

 「よっしゃー! 回すぞ!」。馳が客席を見回し、人さし指をクルクル回すと、超満員の後楽園がどっと沸いた。「1回、2回、3回、4回…」。カブキの両足をロックして、観客のかけ声とともに振り回す。大声援の後押しを受けて20回も回した。

 最後はTNTに北斗原爆固めを決めて勝利。藤波辰爾、長州力の先輩を従えて、華々しく復帰戦を飾った。「リングにいるときは政治家馳浩じゃない。リング上で政治家のにおいがしたらイヤ」と、プロレスラー全開の活躍だった。

 「大臣になってリングに戻る」という“公約”を実現した。藤波、長州とタッグを結成し、グレート・ムタ、ザ・グレート・カブキ、TNTとの対戦という夢のカードが実現。それでも試合後は「夏の夜の夢に終わらせないようにします」とファンに叫んだ。

 今大会の発案者は、馳と新日本プロレス時代の盟友・武藤敬司だった。15年にプロレス界から初の文部科学大臣に就任すると、就任祝いのパーティーの発起人に名を連ねた仲だ。当時から武藤は冗談のように「大臣になったんだから、リングに上がってもらう。オレはいつでもバックアップするから」と話していた。

 武藤からオファーを受けた2月から、毎日1時間の時間をつくってトレーニングに充ててきた。今後について馳は「続きはあるだろう」とプロレスの続投をにおわせた。23年目を迎えた政治活動とともに、11年の時を超えてよみがえった熱い男の胸に、プロレスの火がついた。【桝田朗】