ボクシングのWBO世界スーパーウエルター級6位亀海喜寛(34=帝拳)が8月26日(日本時間27日)、米カリフォルニア州カーソンで元4階級制覇王者ミゲル・コット(36=プエルトリコ)と同級王座決定戦で対戦する。

 マニー・パッキャオ(38=フィリピン)、フロイド・メイウェザー(40=米国)らスーパースターと戦った経験を持つ超ビッグネーム相手に、亀海はどう戦うのか。本人へのインタビューで意気込みを聞いた。注目の一戦は、27日午前11時からWOWOWライブで生中継される。

 -試合が決まったと聞いたときは、どう思いましたか。

 興奮したし、でも、すぐに「やってやる、勝ってやる」という気持ちに変わりました。

 -これまで亀海選手にとってコットはどんな存在でしたか。

 自分が20歳ぐらいのときからWOWOWの「エキサイトマッチ」で試合を見てきたし、大好きなアイドルです。だから試合が決まって不思議な感じがします。

 -6月にロサンゼルスで一緒に記者会見に臨みましたが、実際に会った印象はいかがでしたか。

 会見の前、偶然に会場の前で会ってあいさつしました。いつもは眉間に皺を寄せて神経質なイメージでしたが、そのときはフレンドリーな感じでした。ただ、向き合ったときに目線がずいぶん下に行ったので体は小さいなという印象を受けました。オーラも感じませんでした。

 -会見のあと、米国でトレーニングをしてきたんですね。

 ロサンゼルスで10日間ぐらいトレーニングしました。現地のトレーナーから、これまでになかった考え方や技術的な話も聞きました。

 -日本でのジムワークも順調ですね。

 米国に行って視野が広がり、より良いトレーニングができています。

 -亀海選手はボクサーとしてどこが自分のセールス・ポイントだと思っていますか。

 ハートの強さには自信があります。あとはボディーブロー、スタミナ、手数を出してアクションが多いところなどが海外のファンに認められているのかなと思います。

 -すでに海外で8試合していますが、アメリカでは名前で呼ばれることが多いのでしょうか。

 名前で「ヨシ」とか「ヨシヒロ」とか呼ばれるんですが、すごく違和感があるんですよ(笑)。名前で呼ぶのは家族ぐらいなので。でも、スラングで「あいつはイカレテルぞ」とか言われると、それはボクサーにとっては褒め言葉なのでうれしいですね。

 -コットの戦力をどう分析していますか。

 一撃で決めることもある攻防兼備の選手で、コンビネーションもいい。穴の少ないボクサーですね。

 -20代のころと現在は少し戦い方に変化が見られるのでは。

 スーパーライト級のころはディフェンスに優れていてパンチもスピードもあり、決定力があった。ウエルター級になって激闘型になり低迷した時期もあったけれど、スーパーウエルター級、ミドル級になって、スピードは落ちたけれどワンパンチはキープしていますね。以前よりは堅実なボクシングになっている気がします。

 -付け入るポイントはどのあたりだと思いますか。

 アントニオ・マルガリート(メキシコ)のようにプレッシャーをかけてくる選手には強くないのかなという気はします。下がらなかったジョシュア・クロッティ(ガーナ/米国)にも苦戦しているし。

 -どんな展開に持ち込もうと考えていますか。

 序盤に強いパンチをもらってダメージを受けたり顔面をカットしたりしたら何もできなくなってしまうので、いかに最初から自分のペースに持ち込むか。それが大事だと思います。

 -ボディーブローで相手の体力を削り、そのうえで中盤から終盤に勝負、というイメージですか。

 ほとんどの人がそう思っているんじゃないでしょうかね。あれだけうまい選手なのでビッグパンチはかわしてしまうはず。もしも序盤にチャンスが来るとしても、それはラッキー・パンチ以外にないけれど、そのラッキーに賭けているようではダメですからね。戦術などを含めて中盤、終盤に仕掛けないといけないと思います。

 -試合会場のスタブハブ・センターでは過去に2度、試合をしていますね。

 知っている慣れた会場なので良かったです。

 -コットは亀海選手との試合後、12月にも試合を計画しているみたいですね。

 あれだけの選手なので、ここでつまずくことはイメージしていないんでしょう。こちらは引き立て役、いわばBサイドとして見られているのは間違いないので、それは仕方ないでしょう。でも、「亀海のスタイル、気持ちの強さがアップセット(番狂わせ)を起こす」と言ってくれる人もいるので、自分も絶対にやってやるという気持ちです。

 -もちろん自信はありますね。

 負けることを考えてリングに上がるヤツがどこにいる! バカヤロー! と誰かが言ったけれど、もちろん自信はあります。これまでも負けるつもりで試合に臨んだことはないし、この話が来たときから勝つことしか頭にありません。負けるかもしれない、負けたらどうする、勝てるかもしれない。そんなことを言う人がいたら「それは違う。勝ちにいくことしか考えていない」と言います。

 -コットに勝てば亀海選手自身が、これまで以上に注目されることになります。

 それはコットに勝てば当たり前でしょう。逆にケガをして引退とか、ボクシングはそういう可能性もある。だから先のことは考えず、とにかくこの試合に勝つことだけを考えています。