アントニオ猪木(74)の生前葬が21日、東京・両国国技館で始まった。

 チケットは9月23日に発売されたが、5万円のVIP席が4日後の27日に、3万円のSRS席が12日に完売するなど盛況で、19日には全席が完売。この日も開場前から多くのファンが入り口に列をつくり、周辺には「譲って下さい」と書かれたボードを持った、チケットを買えなかったファンも集まった。

 この日は生前葬の前に7試合が行われる。第1試合のカール・ゴッチ杯2017・1回戦(5分2回、延長1回)には、猪木の弟子・鈴川真一(フリー)が登場。2017ISMトーナメントで優勝したヂエゴ安楽 (ブラジル、グレイシーバッハ姫路)と対戦し、肩固めで勝って2回戦に進出した。

 第2試合では1回戦のもう1試合、桜井隆多(R-BLOOD)対brother”YASSHI(京都カス野郎プロレス)が行われ、第2代DEEPミドル級王者の桜井が2回、brother”YASSHIのバックを取って首に腕を回し、裸絞めで勝利。セミファイナルのカール・ゴッチ杯2017決勝戦で、鈴川との対戦が決まった。

 メインイベントでは、新日本プロレスでIWGPヘビー級王座を2度獲得した“超竜”スコット・ノートン(56)とK-1グランプリで3度優勝のピーター・アーツ(46)が時間無制限一本勝負で対戦。ノートンは7月24日に東京・後楽園ホールで開催された「カール・ゴッチ没後10周年、ムハマド・アリ没後1周年大会 INOKI 『ISM』」に続く参戦。大会公式サイトを通じ「万が一ピーター・アーツに負けたら、俺は引退する!二度と俺の試合は見る事が出来ない!」と、負けたら引退を宣言している。

 猪木は9月14日に開いた会見で、生前葬をやるにあたり1999年(平11)1月31日に亡くなった、ジャイアント馬場さん(享年61)の挑戦状を受ける意義があると強調した。

 猪木 生前葬をやるという話になって急きょ、この話が盛り上がった。何年か前にジャイアント馬場さんが亡くなった。リングの上で、いつも挑戦していたんですが、理由を付けて逃げ回っていた。ある日『挑戦状を受ける…さんずの川で待っている』と。さんずの川まで行くには、ちょっと早いな。そろそろ迎えに来てもいいかな。

 また開催の大きなきっかけが、今年に入って兄弟2人が心臓の病などで亡くなったことだと明かした。猪木自身、9月11日に北朝鮮から帰国し、東京・羽田空港で会見を開いた際、入国審査から会見場に移動した際に息切れを訴えた。「2人、兄弟が亡くなって…心臓系のあれで、兄貴もその下も。俺も羽田に着いた時の記者会見で、やっぱり、ちょっと息切れが出てきたことがあった」と、自身の体調に変化を感じていることも口にした。

 生前葬には、かつてリングで抗争を繰り広げたスタン・ハンセン氏(68)、藤原喜明(68)が参列。さらなる“大物”もサプライズで登場するという。【村上幸将】