矢吹純(26=協栄)が初代王者になり、初のJK王者誕生はならなかった。

 今年新設された日本所タイトル戦で、バンタム級に続く王座決定戦で20歳の高校3年生小村楓香(グリーンツダ)と対戦。ともに1度ダウンしたが、矢吹がリーチ差を生かしてリード。判定では2~4ポイント差をつけた。

 矢吹は163センチに対して、小村は151センチと12センチ差があった。このサイズを生かして矢吹がジャブにストレートでペースをつくったが、小村も積極的に飛び込んで振り回して応戦した。3回に矢吹の左ストレートに、小村がグローブをマットにつけてダウン。4回には小村がコーナーに詰めて左ボディーに矢吹がダウンすると、足を滑らせたスリップかと思われたがダウンとされた。終盤2回は矢吹が的確にパンチを当てた。

 矢吹はリング上から2年前に亡くした父寿美さんの遺影を見つけると感極まった。ボクシングは父の格闘技好きの影響もあって始めた。「見ていてくれたと思うが、まだまだと言っているはず」と話した。「テーマの平常心で冷静にいけた。合格点。違う色の世界のベルトをとりたい」と日本王座を通過点にするつもりだ。

 JK初の王者を逃した小村は、判定の瞬間から控室にも戻っても泣きじゃくった。「勝つことしか考えてなかった。これに懸けていた。1回はすごくよかったのに」とポツリポツリ。本石会長は「1回は向こうもびっくりしたはず。終盤2回をとりたかった。向こうが一枚上手だった」と振り返った。中学からボクシングを始めたが夜遊びが過ぎて留年を繰り返した。「今年ダメだと卒業できない」と試合翌日には始発の新幹線で大阪へ戻って登校する。ベルトを肩に凱旋(がいせん)の願いはかなわなかった。