男子柔道66キロ級でアテネ五輪、北京五輪と連覇し、準強姦(ごうかん)罪で懲役5年の実刑判決を受けた内柴正人(39)が、格闘技デビュー戦を白星で飾った。

 ミドル級(82キロ級)と無差別級に出場。ミドル級は、3人によるリーグ戦で行われた。第1戦は高木勇人(41)を、裾払いで倒すと、マウントのポジションからポイントを重ね、最後は腕固めで、わずか2分足らずで1本勝ち。第2戦の湯川拓摩(31)戦は、開始早々、相手のタックルに押し込まれるも、投げ技で倒し上になると、腕十字固めで試合を決めた。試合後に行われた表彰式では、金メダルを首にかけられ、2位湯川、3位高木と肩を組んで、記念写真に収まった。

 2位の湯川は「さすがというか。立ち技では勝てないのでタックルをねらったが、押さえ込みが絶妙だった」と苦笑。3位の高木は「最初、怖かった。ハンパない。最後に腕を極められたときも、力を抜いていただいて、優しかった」と五輪金メダリストの強さに脱帽していた。

 無差別級も第1試合から3試合にすべて1本勝ちで、圧倒的な強さで優勝した。特に準決勝では、開始早々にともえ投げから腕十字固めと流れるような技の切れで、快勝。敗れた新城エベルソン(33)は「うまかった。今までやった中で一番強かった」と話した。

 過去に連覇を果たした五輪同様、初体験の柔術でも2階級をあっさり制覇した内柴は「ボクにはこれしかできない。いろんな意見がある中で、人前に出てこういうことをやることを選んでいる。働いてお金を稼ぐより、あらためて自分の生き甲斐を大事にした。1歩1歩目の前にあるものを1つ1つこなしていきたい」と柔術への思いを語った。

 刑務所の内柴に手紙を書き、柔術を勧めた山田重孝氏は総合格闘技の「REAL」を運営するが「目標はプロではなく、アマチュアの世界で1番になること。柔術以外にも、プロのレスリングやアブダビコンバットなどで世界一を目指したい」と話した。9月15日に出所した内柴は、熊本で知人の紹介で会社に就職しつつ、上京して柔術の練習を行ってきたという。