ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、王者として「聖地」に凱旋(がいせん)する。4月15日の初防衛戦(横浜アリーナ)をクリアすれば、今秋に米ラスベガス・MGMグランド・ガーデンアリーナでV2戦を行う計画が明らかになった。帝拳ジムの本田明彦会長(70)が22日、「9月か10月にMGMでやる」と明言した。

 欧米人が主流のミドル級でベルトを巻く実力にラブコールが届いた。老舗映画会社として創業したMGM社。現在は世界的にリゾートホテル経営を手がける中、同級8位ブランダムラ(イタリア)を迎える村田のV1戦に注目。日本で開催される世界戦では初めてスポンサーとしてロープなどに名前が入る。その先にあるラスベガスでの試合を見越しての青田買いだ。

 世界最大規模のメガリゾート「MGMグランド」内の1万6800人収容のアリーナは、現在のボクシングの中心地。90年代はタイソンで有名で、97年の世界戦でホリフィールドの耳をかじった。00年以降は「世紀の一戦」パッキャオ対メイウェザーなどのビッグマッチに重用。村田は16年7月に同会場の前座戦でタドニッパに1回KO勝ちしている。今回は王者として、メイン級で帰還する。対戦相手について、本田会長は海外で報じられているリオ五輪銀のファルカオ(ブラジル)ではなく「米国人とやりたい」と望んだ。

 この日も都内ジムで3時間練習した村田は「会長がゴーサインを出した相手とやる。そのスタンスは変わらない」と述べた。まずはベルトを守り、そして先を見る。【阿部健吾】