ボクシングの前日本バンタム級王者赤穂亮(32=横浜光)が12日に都内で、約1年ぶりの復帰戦へ前日計量をクリアした。13日の東京・後楽園ホールでのロベルト・ウドトハン(29=フィリピン)とのノンタイトル8回戦は、昨年8月の初防衛戦以来の試合となる。赤穂は一発で契約体重の56・0キロちょうど、相手は200グラムオーバーから再計量でパスした。

 赤穂は1月にV2戦を予定していたが、減量中の試合4日前にダウンして救急搬送された。ドクターストップで棄権となり、王座を陥落となった。棄権したのは15年以来2度目のことだった。「前は根性でいけたが、もう通じない。疲労の蓄積とかもあった」と振り返る。

 2度目の棄権ですぐに引退を決断した。「2~3カ月まったく動かず、99%やめるつもりだった」。重圧から解放されたが、一方で徐々に物足りなさも感じた。そこへ兄貴と慕う元世界王者の下田氏から、電話などで連日叱咤(しった)激励された。「おれはやりきった。お前はやり切ったのか?」と。

 4月になって現役続行を決断し、石井会長に申し出ると、話し合いの末に許しを得た。すぐに復帰戦も決めてもらい、再スタートした。世界を目指してバッグ一つで上京した17歳のころの初心に帰り、数年ぶりで出稽古にも行った。

 階級も上げて、減量も早めに始めた。フェザー級も視野に入れるが、再び世界を目指すにはスーパーバンタム級で行く考えだ。「それも今回勝っての話。リングに帰ってこられた、リングに入れることを楽しみたい。期待してください」。ボクサーを続ける喜びを口にした。