Bブロックの開幕戦を迎え、IWGPヘビー級王者ケニー・オメガ(34)が内藤哲也(36)との初戦を制した。速さ、パワー、技術がふんだんに盛り込まれた攻防戦は息もつかせぬ展開が続き、最後は23分19秒でオメガに軍配が上がった。

 オメガが内藤の目を見開くポーズをまねすれば、内藤はオメガのピストルポーズをまねする。シングル戦では昨年の優勝決定戦以来1年ぶりの対決。開幕でいきなり相まみえた両雄は、どこか楽しむかのように試合を滑り出した。

 互いに決定機をつくらせずに、場外での競り合いも激化。内藤がエプロンから背中へのドロップキックを見舞えば、オメガは滞空時間が長いスワンダイブ式のプランチャを鉄柵越しにヒットさせた。

 試合はどちらが先に大技を決めるかに焦点が絞られていく。ただ、どちらも譲らない。オメガの片翼の天使には内藤がリバースフランケンシュタイナーで返し、内藤のデスティーノにはオメガが片翼の天使に持ち込もうとするなど、その度に会場にどよめきと歓声が響いた。

 試合の結末は、やはり最初に大技を決めた者が勝利した。オメガがデスティーノを変形のツームストンパイルドライバーで返すと、ここから一気呵成(かせい)。垂直落下式リバースタイガードライバー、Vトリガー、そして最後にはついに片翼の天使がさく裂。3カウントを奪って、激戦を制した。

 勝利のリングでマイクを握ったオメガ。「ナイトウさんが、非常にすばらしい試合をやってくれたので、最後のマイクパフォーマンスは日本語で言います」と切り出すと、「進化してないのが残念ですね。でもさあ、来年のG1があるから、もし精いっぱい頑張れば、この会社の3番くらいになると思います。もちろん、私とイブたん(飯伏幸太)の下ですね」と内藤を挑発した。

 6月9日の大阪城ホール大会でオカダ・カズチカを破り、IWGPヘビー級王者となった。昨年屈辱を味わった内藤を下し、その勢いはとどまることを知らない。ヘビー級のベルトを巻いてG1を制すれば、00年の佐々木健介以来18年ぶり3人目の快挙となる。