6階級制覇王者マニー・パッキャオ(39=フィリピン)が、完勝KOの王座奪取で復活した。WBA世界ウエルター級王者ルーカス・マティセ(35=アルゼンチン)に挑戦し、3回に左、5回に右でダウンさせた。7回にも左アッパーで3度目のダウンを奪うとレフェリーストップ。7回2分43秒TKO勝ちした。昨年のWBO同級王座陥落から1年ぶりの試合に、9年ぶりのKO勝利で通算60勝目。初のWBAで通算10個目の世界王座獲得となった。

 パッキャオの完全復活劇だった。初回から圧力をかけて攻めた。フットワークも軽快でリズムよく、相手パンチをかわし、得意の踏み込みから左ストレートを打ち込む。まずは3回にガードの間に左アッパーを突き上げ、アゴに命中させて最初のダウンを奪った。

 マレーシアではヘビー級アリ以来43年ぶりのビッグマッチだった。1万6000人の観衆が熱狂する中で、5回には軽い右フックに相手が自らヒザをつく。フィナーレは7回。再び左アッパーを打ち込んで3度目のダウンを奪うと、レフェリーはマティセが戦意喪失と判断してストップした。

 マティセは39勝中36KOで「ザ・マシン」と言われた。その強打者を終始手玉にとった。パッキャオは3回のダウンに「タフな選手がダウンしてびっくり。ボーナスみたいなもの」と言ったが、マティセは「偉大な伝説だ」と脱帽した。

 1度は4月に再起計画も準備期間不足と先延ばし。米国進出の01年から組んでいたローチ・トレーナーとのコンビも解消したが、5階級制覇したドネアの父シニアが参謀についた。「相手も予想通りでベストを出せた。戦略通りに試合をコントロールできた」と自ら満点評価の出来だった。

 10年から議員も務める英雄らしく「幸せな気分で国に帰り、国民と喜びたい」とリップサービス。12月には40歳になるが「次は年内にやるつもり」。通算60勝目で10個目の世界王座獲得で現役バリバリを証明。まだまだリングを下りるつもりはないようだ。