不正判定などの疑惑に大揺れの日本ボクシング連盟の山根明会長(78)が3日、日刊スポーツの電話取材に応じた。週刊誌などで報じられた元暴力団関係者との関係を認め、社会的地位に就く適性が問われることになった。「日本ボクシングを再興する会」が作成した告発状にも反論。助成金問題を認めた以外は全否定し、退任の意志もないとした。

 渦中の山根会長が、自身の過去について語った。

 この日、一部週刊誌に過去に元暴力団組長だった男性との交友関係が報じられた。その人物について問われると、「お付き合いはありました」と明言。「僕の若い時に、そういうね、仲間はおりました。だけど、(当該人物の)舎弟とか、正式な杯も受けてません」「正式な組員ではありません」と続けた。

 法人格を持つスポーツ団体のトップが反社会的勢力との関係性を認めた。報道によれば、男性は約10年前に引退しており、現在は関係はないという。日本ボクシング連盟が加盟する日本スポーツ協会では、16年11月に反社会的勢力との交流を禁じるガイドラインを策定している。過去の事実が規定に触れるとは言えないが、道義的な問題は残る。

 山根会長によれば、男性と知り合ったのは「若い時」。大阪・玉造の商店街で1対6のけんかをしているときに仲介に入った人物を介し、暴力団を紹介され、男性と出会った。「僕の兄弟は生き別れしてですね、相手も年が2つ上ですし、やくざの兄貴というわけではなく、実の兄貴としてお付き合いはありました」と深い関係性だったことを明かした。

 取材では告発状が日本オリンピック委員会(JOC)などに提出された件も回答した。告発状は見ておらず、報道を見ての反論だとした上で、助成金問題以外の疑惑は事実と異なるか問われ「そうです」と全否定。「退陣をしないといけない理由がないですから」と辞任も否定し、告発者側との話し合いも「ありません。認めてない団体ですから」とした。一連の騒動では、JOC、日本スポーツ協会から、調査のために第三者委員会の設置をこの日付で要請された。

 この日は、日テレ「スッキリ」内で生出演した理由について、元暴力団組長から知人に2日前に連絡があり、「3日以内に引退しないと山根の過去をばらすぞ、という脅迫を受けました。だから僕は立ち上がったんです」と答えた。助成金、判定などとは別で、会長という立場での適性に疑問符がつく事態となった。

 ◆山根明(やまね・あきら)1939年(昭14)10月12日、大阪・堺市生まれ。奈良県連での役職、日本代表監督を経て、10年に日本連盟の副会長に。11年には会長に就任した。12年には終身会長となっている。