WBO世界フライ級王者木村翔(29=青木)が、怒りのKO防衛を宣言した。20日に都内で、9月24日に名古屋で同級1位田中恒成(23=畑中)とのV3戦を発表した。

 木村は7月27日に中国でV2から2カ月足らずでの連戦。10日しか休めなかった不満をリングで爆発させるつもりだ。田中陣営の先行発表から20日後の発表と、木村陣営は王者のプライドも見せた発表会見。雑草対エリートの日本人対決は、早くも火花を散らせて始まった。

 「遊べなかった怒りをぶつけたい」。木村はヒゲをぴくつかせて語気を強めた。7月に中国で初めて海外防衛。大仕事も休みは10日だけで、7日に練習を再開した。「韓国に行って、焼き肉食って、カジノにも」。その願いは吹き飛んだ。

 2カ月足らずの試合間隔は強行と言える。4月にはWBC世界フライ級で比嘉が2カ月余りで、体重超過から王座剥奪となった。木村は「体はなまってない。減量も問題ない。前回も1カ月半の集中で仕上げた」と話す。そこには陣営の思惑もある。

 昨年大みそか以来、期限通り9カ月で指名試合となる。9月に田中戦は早々に内定済みで、V2戦はあえてはさんだ。有吉会長は「試合ないとジムに来ないで遊び行っちゃう。太る暇もなくこの方が楽」と笑った。実際に世界初挑戦など何度もこの間隔で試合した。

 また敵地戦になるが、王者の意地が20日後の異例の発表になった。田中陣営がV2戦の4日後に先行発表した。有吉会長は「招待もされたが、休ませたいし。王者が出向く必要はない。あくまで防衛戦」と、早くも舌戦でも仕掛けた。

 田中は12戦目の世界最速タイで3階級制覇を狙う。木村の12戦目はノーランカーだった。雑草対エリートの日本人対決。木村は「一番手ごわい相手も穴はある。一発当たれば。必ずKOで倒す」とニヤリ。「3階級阻止のV3でスター街道を上る」ために、26日からはバンコクで2週間のスパーリング・キャンプに入る。【河合香】