キックボクシング界の「神童」那須川天心(20)が、18日に41歳の若さで死去した山本“KID”徳郁さんの激励を胸に秘め、新世代版の「魔裟斗-KID戦」をみせる覚悟を示した。30日のRIZIN13大会(さいたまスーパーアリーナ)でKIDさんの弟子で元UFC戦士の堀口恭司(27)とキックルールで対戦する那須川は、19日に千葉・松戸市のジムで練習を公開。04年大みそかに注目された中量級対決以上のインパクトを残す意欲をみせた。

KIDさん死去の翌日に開かれた公開練習で、那須川は胸に秘めた思いを素直に表現した。KIDさんの弟子でもある堀口との「RIZIN最強対決」直前という時期の早すぎる訃報。「本当にショックです。堀口選手もKIDさんの弟子ですし、自分もこの試合は本当に見てもらいたかったという思いが強いです。昔の魔裟斗さんとKIDさんの試合を新しい世代で同じ形でやるわけですから」。唇をかみ、うつむき、残念そうな表情を浮かべた。

約1年前、共通の知人を通じてプライベートで偶然、KIDさんと対面した時の思い出も吐露した。「フレンドリーに話しかけてくれて(格闘界を)盛り上げてよと言われました。いろいろな人に言われる言葉ですけれど、KIDさんに言われると重みが違いました」。04年大みそかの魔裟斗-KID戦時の那須川は「まだ幼稚園ですね。その時は見てないですけれど、ネットとかで試合は見ました」。当時の盛り上がり、ムードは脳裏に焼き付いている。

デビューから無敗の31連勝を誇り、キック団体RISE初の世界王座を獲得した那須川。対する堀口もUFCで王座挑戦経験があり、昨年のRIZINバンタム級GPも優勝。30日は新世代の魔裟斗-KID戦と言っていい。

「本当に一番旬という盛り上がるカード。昔の魔裟斗さんとKIDさんのような、あのカード以上のインパクトを残したいです」

天国から見守るKIDさんに名勝負を届ける覚悟はできている。【藤中栄二】