元レスリング世界女王の総合格闘家・山本美憂(44)が亡き弟にささげる勝利を誓った。実弟の山本“KID”徳郁さん(享年41)が18日に胃がんで死去したことを受け、20日にコメントを発表。あらためてアンディ・ウィン(36=米国)戦が組まれた30日のRIZIN13大会(さいたまスーパーアリーナ)出場を表明し、天国にいるKIDさんに勝利を届ける覚悟を示した。また同大会でKIDさんの追悼セレモニーも開かれる計画が進んでいる。

RIZINを通じて発表された美憂のコメントには天国に旅立った弟に白星を届けたい気持ちが凝縮されていた。

「このたびのことで皆様にご心配をお掛けしていますが、私、山本美憂は9月30日のRIZIN13は予定通り出場いたします。もちろん勝って弟にいい報告をしたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」

16年大みそかに負けたウィンにリベンジする姿をKIDさんに届ける覚悟がつづられていた。

今回の試合は美憂自らが直訴して組まれたカードだった。7月29日のRIZIN11大会で石岡沙織に2-1の判定勝利した直後の8月上旬、RIZIN榊原信行実行委員長のもとに「9月も出たい」との直談判があったという。20日に都内で会見を開いた同委員長は「当初、組む予定はなかったが、闘病する弟のために自分が戦うことで勇気を届けたいという思いに応えた」と明かした。

KIDさんは米総合格闘技UFCと契約し、選手としてRIZIN出場はなかったが、美憂やおいの山本アーセンを指導するトレーナーとして関係を深めてきた。榊原実行委員長は「格闘技界の発展に尽力した同志として最大限のことをやりたい。ご家族のご意向も踏まえ、何をやれるか考えたい」と追悼セレモニーも計画中だ。既にチケットは完売に近く、約2万5000人が集結予定。美憂がKIDさんにリベンジ勝利を届け、格闘技ファンも感謝の気持ちを伝える“追悼興行”となりそうだ。【藤中栄二】