ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が「未来志向」でV2を成す。同級3位ロブ・ブラント(米国)との2度目の防衛戦(20日)へ、13日に成田空港から開催地の米国ラスベガスへ出発した。過去2度の試合経験もある同地。王者としての渡米、心境の違いには、「ベルトのスペース作りが…。パッキングが大変で」と軽妙に返した。

泰然と余裕なのは、「いまも未来から見たら、たいしたことがない。俯瞰(ふかん)して見ている感じ」と心理を明かした。内容が求められる本場での防衛戦。相手が指名挑戦者という環境は常人ならば緊張感もあろうが、その「捉え方」に村田らしさが透けた。

米国では20日、ミドル級でもう1つのタイトル戦が行われる。ドーピング違反でサンダース(英国)が返上したWBO王座を、アンドラーデ(米国)とカウトンドクワ(ナミビア)が争う。このほど王座決定戦へ昇格され、米メディアには自身の試合内容と比較される状況だが、「大丈夫です」。この返答も気負いなく、平静さを感じさせた。

メンタルの強さ。報道陣に放った最後の一言も、それを感じさせるに十分だった。「すいません、羽田空港が良かったですね。近くて。あ、でも僕が謝ることじゃないか」。【阿部健吾】