ボクシングのリック吉村ことフレデリック・ロバーツ会長(53)のリングサイド・フットネスジムがプロ加盟した。17日の都内での東日本協会理事会で承認された。日本王座最多22度防衛記録を持つ世界挑戦経験者。11年から東京・福生市でアマジムとして活動していたが、世界王者育成の夢へ踏み出した。

会長は故郷米ニューヨークで12歳からボクシングを始めた。米軍に入隊して青森・三沢基地勤務となり、八戸帝拳ジムに入門。87年に日本デビューし、90年に日本スーパーライト級王者となった。2度防衛して陥落後、92年に東京の横田基地に転勤で石川ジムに移籍した。

階級をライト級に上げて、2階級制覇を達成する。初防衛失敗にケガでブランクを作ったが、95年には王座へ返り咲いた。5年10カ月にわたって王座を守り、全階級を通じて今も最多となる22度防衛に成功した。

01年にはWBA同級王者だった畑山隆則に、待望の世界初挑戦が実現した。得意のジャブを突くアウトボクシングで接戦を演じたが、採点は三者三様で引き分けた。9回にホールディングで減点され、これがなければ2-1で王座奪取だった。

その後2度敗戦して03年に引退した。08年には米軍を退職し、11年から横田基地に近い福生市の自宅ガレージでアマジムをスタートさせた。13年にビルを借りて現在のジムで再出発。今年クラウドファンディングで、目標を100万円上回る400万円の支援金が集まった。この資金を元に念願のプロ化を実現した。

「プロのジムになれて本当にうれしい。いつか世界王者を育てたいと思っていた。やっぱりジャブが大切。ジャブを第一に教えている」と話す。練習生は現在約70人いて、プロを目指す選手は15人程度いるという。12月には初めてプロテストを受験し、合格すれば来年2月にデビュー戦を予定している。

最近は5歳の娘さんも「ちょっとだけボクシングしている」と目を細めた。自分と畑山の教え子が対戦し、今度こそ勝利の夢も持っている。