【ラスベガス(米ネバダ州)19日(日本時間20日)=阿部健吾】ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が今日20日(同21日)、当地のパークシアターで2度目の防衛戦のゴングを迎える。前日計量では同級3位ロブ・ブラント(28=米国)ともに一発パス。堂々とKO宣言した日本の至宝にエールを送ったのは、元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン氏(52=米国)。同市内で直撃すると「グッドラック!」と勝利を祈った。

「コンニチハ!」「アリガト!」。日本でもいまだに人気と知名度を誇るボクシング界の顔は、笑顔で声を響かせた。ラスベガス市内で行われていたタイソン氏のサイン会を直撃。「MURATA」の名前は知らなかったが、ボクシングの聖地で防衛戦を迎えると聞くと「GOOD LUCK!(成功を祈る)」と親指を立てた。

ベガスのビッグマッチといえば、20世紀最強と言われた同氏が主役だった。キャリア50戦で16試合が同地開催、うち9試合が世界戦。86年11月にバービックに2回TKO勝ちし、WBC王座を獲得。史上最年少(20歳5カ月)で世界ヘビー級王座に就いた。翌87年にはWBA、IBF王座を統一。96年にWBC王座に返り咲き、97年にホリフィールド戦での「耳かみ事件」があったのも、全てベガスだった。自宅も構える。

聖地での心構えには「(選手ごとに違うから)分からないな」とした。村田自身が話すように、世界でも層が厚いミドル級で王者と言えど、本場でのアピールはこれから。この一戦を最高の形で終えてアピールに成功すれば、知らない存在では済まなくなる。

この日、会場のパークシアターで行われた前日計量で村田は、リミットを300グラム下回る72・2キロ。700グラム下回る71・8キロで同じく一発パスしたブラントと向き合うと「倒したいという気持ちが、目の前にして強くなりました」「強いパンチでぶん殴ってやりたい」と語気を強めた。日本での調整では狙いすぎを警戒し、KO宣言を自重してきたが、相手を面前にして気持ちが爆発した。計量に駆けつけた日本のファンにも「多くの方にきてもらえて感謝しています。絶対に倒しますので、楽しみにしていて下さい」と宣言した。

米国でインパクトを残せば、ビッグマッチにつながる。元3団体ミドル級王者ゴロフキンと来年1~3月、東京ドームかラスベガスを候補地に本格交渉に入る。東京ドームとなれば、タイソン氏がダグラスに衝撃の10回KO負けを喫した90年2月の興行以来。間違いなく国内最大規模のイベントとなる。

「白米があれば大丈夫。気の向くままに食べます」。減量を終え、日本人の血が騒ぐという。海を渡ってきた王者が、タイソン氏にも届く衝撃の結末をもたらす。