ボクシング女子の日本フライ級チャンピオン池本夢実(22)の凱旋(がいせん)試合(フライ級8回戦)が10日、静岡県・川根本町本川根B&G海洋センターで行われ、池本が東洋太平洋バンタム級3位グレテル・デ・パズ(フィリピン)に3-0で判定勝ちした。練習通りの振り子の動きで相手を揺さぶりながら、右ストレートで有効打を決めて勝利をたぐり寄せた。

池本にとって初の地元マッチ。会場に集まった約700人のうち、半分弱は町内から駆けつけたという。また、インターネットで資金を集める「クラウドファンディング」を活用するなど、地元開催実現に多くの支援があった。池本は「ここでやるのは難しいと思っていたので、地域の皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」と感無量だった。

後援会「夢実隊」の会長を務める上中通寿(みちとし)さん(50)は、「昨年11月に試合が決まってから、多くの人が協力して準備してくれて、地域のパワーや団結力を感じました」と、町が一丸となったことを強調。「故郷に錦を飾って、恩返ししてくれました。これをステップに世界に飛び込んでほしいです」と、これから世界タイトルを目指す町のスターにエールを送った。【和田憲明】

◆池本夢実(いけもと・ゆめみ)1996年(平8)5月1日、静岡県川根本町生まれ。5歳から空手を始め、常葉大菊川高在学時には全国大会3位に入賞した実績を持つ。琉球大に進学後、琉球ボクシングジムに入り、2016年にプロデビューを果たした。昨年3月には日本女子フライ級のタイトルを奪取。今春、沖縄県警に就職予定。