ボクシングWBO世界スーパーフライ級2位井岡一翔(30=Reason大貴)が、渋谷のど真ん中で国内男子初の4階級制覇達成をアピールした。19日に千葉でのトリプル世界戦のフェースオフと調印式が、13日に道玄坂の渋谷109で行われた。通常はホテルなどで開催されるが、異例の街頭で一般公開となった。

井岡は王座決定戦で対戦する同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)と対面し、約15秒ほどフェースオフで顔を合わせた。パリクテは手をポケットに入れ、ガムをかみながら笑みも見せた。リラックスした表情の相手に対し、井岡は口を真一文字にしてにらみ、再挑戦への決意をにじませた。

正面玄関前のイベントスペースが会場となり、道行く人も立ち止まってのぞき込んでいた。井岡は「こういうイベントが少しでも告知になればいい。少しでも盛り上がり、見てもらうことにつながれば」と、異例のイベントを歓迎した。

パリクテとは昨年9月に米国で、同じリングに上がって以来の対面だった。「特に印象はないが、いよいよ試合が迫ってきたなという気持ち」。6日後の決戦を肌に感じることとなった。

昨年の大みそかにマカオで、前王者ドニー・ニエステ(37=フィリピン)に1-2の判定負けを喫した。今度こそと日本に復帰しての再挑戦。4月から米ラスベガスで過去最長の8週間となる合宿を張った。「対策、準備はしてきた。簡単ではなく、難しい試合になると覚悟をもってやってきた。1度失敗して悔しい思いをした。2年2カ月ぶりの日本で必ず4階級制覇したい」と決意を披露した。

一方のパリクテはトレーナーら4人を引き連れ、井岡に握手を求めるなど余裕を感じさせた。初挑戦でニエステとは引き分けている強打者。「井岡には元世界王者としての実力があるが、100%準備してきた。練習してきたプロセスを信じ、エンターテインメントあふれる試合でベルトをつかみにいく」と意気込みを口にした。