ロンドン五輪(オリンピック)銅メダルの清水聡(33=大橋)がプロ9戦目の初黒星で2階級制覇に失敗した。

WBOアジア・パシフィック・スーパーフェザー級1位で、同級王者ジョー・ノイナイ(23=フィリピン)に挑戦。初回に2度ダウンを喫し、6回に右目がふさがるとレフェリーストップ。6回2分18秒TKO負けを喫した。東洋太平洋フェザー級王座を保持しながら、1階級上にも世界挑戦枠拡大を狙ったが失敗。年内に世界初挑戦のもくろみだったが、大きく後退となった。

6回中盤にドクターチェックが入った。清水の右目周囲は青く腫れていた。試合続行となったものの、途中で相手に背中を向けた。「右目は見えてはいたがふさがって。止めてくれと思って」と説明。そこへ連打を打ち込まれてヒザをつくと、レフェリーは試合を止めた。プロでは負け自体が初めて、アマ時代を含めると14年以来のTKO負けを喫した。

完敗だった。初回にストレートのような右ジャブで、体がグラリとよろけた。大橋会長は「あの右ジャブが効いていた。ダメージを引きずってしまった」。あとは警戒していた左ストレートを浴びてダウン。さらにワンツーで2度目のダウンを喫した。

なんとかクリンチで初回はしのぎ、3回にはプレスをかけて攻勢に転じた。ダイヤモンドレフトを打ち込むも、4回からは再び左ストレートをもらい続けた。清水は「パンチは見えていた。外せるつもりだったが、距離が合わなかった。体が思うように動かなかった。パンチをもらいすぎた」と肩を落とした。

東洋太平洋フェザー級王座は4度防衛し、世界初挑戦を狙っていたが、思うように交渉が進まなかった。そこで1階級上げて、世界挑戦枠を2階級に広げるための王座挑戦だった。それがまさかのプロ初黒星となった。

メインの村田とロンドン五輪メダルコンビで2年7カ月ぶり2度目の競演だった。清水が先に銅メダルを獲得と同様に「勝ってプレッシャーをかけたい。そうすればあいつも頑張る」。白星で村田に後押しを期していたが…。

「こうなるとは思っていなかったので。休ませてもらって、会長と相談したい」。五輪メダリスト2人目の世界王者へ、陣営の年内世界挑戦のプランは吹き飛んでしまった。【河合香】

◆清水聡(しみず・さとし)1986年(昭61)3月13日、岡山県総社市生まれ。中3で地元ジムに通い始め、関西高をへて駒大で国体など3度全国優勝。08年北京五輪は2回戦敗退。自衛隊に入り、12年ロンドン五輪で銅メダル。ミキハウスに入社し、16年リオ五輪を目指すも選考会で敗退。アマ戦績150勝(70KO)20敗。16年にプロデビューし、17年に4戦目で東洋太平洋フェザー級王座を獲得して4度防衛。180センチの左ボクサー。