ボクシング2団体(WBAスーパー・IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)に10社以上の企業から総額約5億円ものスポンサー契約オファーが届いたことが8日、分かった。7日にさいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)を12回判定で下し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)を制覇。米本格進出も発表され、国内外の有力企業からの注目度が跳ね上がった井上尚は同日、横浜市の所属ジムで会見した。

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世界主要4団体中3団体の王者がエントリーした階級最強を決めるトーナメントを制した井上の価値は確実に高まった。2階級で2団体統一王者になった5階級制覇王者ドネアとの血のにじむ激戦を制したインパクト、米プロモート大手トップランク社と契約を結び、米国への本格進出も決まったモンスターに届く企業からの熱視線は大きく、強くなっていた。

井上のスポンサー担当者によると、既に10社以上の有力企業からスポンサー契約に関する打診、オファーが届いたという。さいたまスーパーアリーナの試合会場にも、スポンサー契約に興味を示す数社の企業側が視察していた。同担当者は「平均で1社あたり4000~5000万円の条件」と明かした。単純計算でも5億円近くになる。

現在、井上尚は通信事業大手のNTTぷららとメインスポンサーを結ぶ。繊維製品大手グンゼのボクサーパンツ「ボディーワイルド」のイメージキャラクターも務める。今回もテレビCMを含めた幅広いオファー内容のスポンサー契約が舞い込んでいる。同担当者は「すべての企業の方と契約はできないですが、1つ1つ話をうかがっていきたい」と慎重に話した。

フジテレビ系で生中継されたWBSS決勝は平均視聴率が15・2%、瞬間最高は20・5%をマークした(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。会見に臨んだ井上尚は高視聴率に「トーナメントが決勝ということもあり、注目度も高く、ボクシングをあまり知らない多くの人にも見てもらえたのかなと思うとうれしいです」と手放しで喜んだ。

右肩上がりで注目は増すばかり。パフォーマンスで鮮烈な印象を与えているが「ここまできたら最強を証明していくだけ」と充実の笑み。来年の米本格進出を楽しみにしていた。