WBOアジア太平洋スーパーフェザー級1位尾川堅一(31=帝拳)の王座奪取はならなかった。V2戦となる同級王者ジョー・ノイナイ(24=フィリピン)に挑戦。両者がバッティングでまぶたをカットし、6回途中で王者が再びカットするとドクターストップ。負傷判定に持ち込まれたが、採点は三者三様の1-1で引き分けとなった。

2回にまずノイナイが左まぶた、3回に尾川が右まぶた、4回にはノイナイが左まぶたを新たにカットした。いずれも偶然のバッティングによるものだった。5回に再びバッティングでノイナイの傷が深くなり、ドクターストップで負傷判定に持ち込まれた。結果は1-1の引き分けで王者が防衛となり、ベルトは奪えなかった。

王者は3月に坂晃典(仲里)を2回KOで、王座を獲得した。7月には8連勝していた銅メダリスト清水聡(33=大橋)を7回TKOで初防衛していた。IBF3位、WBA4位、WBO10位と3団体で世界ランク入りしている尾川。実力者を相手に来年の世界再挑戦をアピールするつもりだった。

尾川は「2回から頭を振るように言われ、自分のペースになったと思った。カットは相手も切れて一緒だと。ただ、慎重になって、単発になった」と試合を振り返った。

17年にIBF同級王座を獲得も、薬物検査で陽性反応が出て無効試合となった。資格停止から再起後2連勝し、9月にIBF世界同級挑戦者決定戦が決まったが、相手が来日を拒んで方針変更して臨んだ一戦だった。「子供にベルト約束していたのに…」というと涙ぐんだ。再び岐路に立たされた。