IWGPインターコンチネンタル(IC)王者内藤哲也(37)が、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(32)とのダブルタイトル戦を制し、史上初の2冠を達成した。前日のIC戦で宿敵ジェイ・ホワイトを破り、ベルトを奪取。“手ぶら”からの大逆転でドーム2連戦を締めた。

30分を超える死闘。内藤は、オカダのレインメーカー2連発を食らってグロッギーとなった。だが3発目をかわして、カウンターでデスティーノをさく裂させた。さらにコーナーポスト上に立って、宙返りしながら体をひねる大技スターダストプレスを解禁。さらに相手の脳天をマットに落とすグロリア、最後は再びデスティーノで、オカダから3カウントを奪った。

内藤はマイクを握って「オカダ、オカダ。東京ドームでのメインイベントでの勝利、ものすごく気持ちいいな。またいつか東京ドームのメインイベントで勝負しようぜ!」と呼びかけた。すでにリングを降りて通路を歩いていたオカダも無言で右拳を突き上げ、にやりと笑った。内藤はあらためてマイクを握ると「とったどー」と絶叫した。

さらに会場と一体となって喜びの声を上げようとした瞬間だった。KENTAがいきなり乱入して内藤をKO。会場から「帰れ」コールを浴びながら内藤の上に座って2本のベルトを掲げる暴挙に出た。後味の悪い結末となったが、内藤が2本のベルトを手にした。

内藤は、人気、実力ともに新日本トップにいながら、過去東京ドームのメインに立ったのは2年前の18年だけ。中学3年生の時に誓った夢をかなえたが、IWGPヘビー級王者オカダのレインメーカーに敗退。「東京ドームのメインイベント、最高に気持ちいいだろ。勝つと、もっと気持ちいいぞ」と屈辱の言葉を浴びていた。「オカダを倒した上で、どれだけ気持ちいいのか味わわせていただくぜ」と宣言していた通り、2年前の借りを返して、偉業を達成した。

今年5月ごろから原因不明の体調不良に陥り、リングに集中できない日々が続いた。引退が頭によぎる中で、「何かを残したい」という気持ちがふくらんだ。「内藤哲也、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンってものがあったんだよ、ってことを後生の人に知ってもらうためにも、史上初を成し遂げたいとすごく思い始めました」。11月末からの3週間のオフで体の不安は解消し、万全でドームを迎えたが、その思いは変わらなかった。史上初のドーム2連戦で絶対王者オカダを倒し、プロレス史に名を刻んだ。