ボクシングのWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が28日、横浜市内のジムでスパーリングを再開した。日本ユース同級王者石井渡士也(19=REBOOT)をコンビネーションで崩すと、中盤には強烈な右を打ち込むなど、軽快な動きで5回を消化した。

久しぶりの実戦練習に「無駄なパンチはもらったが、動けているし、出だしは好調。修正できる幅はかなりある」とうなずいた。昨年11月のノニト・ドネア戦で右眼窩(がんか)底など2カ所の骨折を負ったが、影響がなかったことを強調。「(1月に)最終的な診察を受け、問題ないと言われた。傷もしっかりとくっついているし、スパーでも怖さはまったくなかった」と振り返った。

ドネア戦が、全米ボクシング記者協会の19年の年間最高試合に選ばれるなど、世界から注目を集める存在となった。それでも「うれしいことではあるが、自分が求めているのはそこではない。人が決めた評価ではなく、誰と戦って、どんな試合をしたとか、自分の出す結果を求めていきたい」と力を込めた。

4月末に米ラスベガスで予定される20年初戦は、WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)との統一戦がうわさされる。カシメロについては「動きや戦い方のイメージはわいている」とし、「ドネア戦でもスタミナに問題はなかったが、もっと上げていきたい。4月に向けてラウンド数を重ねていきたい」と実戦重視で調整を進めていく方針を示した。