ボクシングWBO世界バンタム級王者ジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)が2度目の防衛戦を前にWBAスーパー、IBF同級王者井上尚弥(28=大橋)を挑発した。12日(日本時間13日)、米カーソンで会見し、井上やWBC同級王者ノニト・ドネア(38=フィリピン)の名を挙げ「私を怖がっている」と豪語。14日(同15日)に同地で拳を交えるWBA同級正規王者ギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)を引退に追い込むと宣言した。

   ◇   ◇   ◇

黒いキャップ、サングラス、そしてゴールド柄のジャージー着用したカシメロが大口をたたいた。会見に同席したリゴンドーを横目に、対抗王者2人の名前を口にし「次の対戦相手はドネアか井上かもしれないので、俺にとって非常に重要な一戦になる」と前置きした上で「あの2人は俺を怖がっているだろう。リゴンドーは怖がっていないが、心配しないでくれ。14日が彼の最後の戦いになるのさ」と強気な姿勢を示した。

インタビューやSNSを通じ、カシメロのビッグマウスぶりは有名だが、その言動が災いし、1度は内定したドネアとの王座統一戦がキャンセルされた経緯がある。少しは反省しているかと思われたが、20年9月、ディーク・ミカとの初防衛戦以来、約11カ月ぶりのリングに向けて気持ちも高揚した様子。カシメロらしいビッグマウスは止まらなかった。

井上、ドネアへの挑発を終えると、00年シドニー、04年アテネ五輪と2度バンタム級で金メダルを獲得しているリゴンドーに向けて牙をむいた。カシメロは「素晴らしいファイターだが、彼をKOできることを世界に示したい。オレは直近の試合で6人の対戦相手をKOしてきた。次はリゴンドーだな。彼を『フィニート(終了)』する。リゴンドーを倒したら、次はドネアか井上だろうな」と再び対抗王者の名を挙げ、不敵な笑みを浮かべた。

2度の五輪金メダル、世界2階級制覇王者でもあるリゴンドーは13年4月、ドネアに判定勝ちを収めている実力者でもあるが、カシメロは直前調整に十分な手応えがある。「一生懸命に練習してきたので、KOすると確信している。土曜日はリゴンドーに驚きを与える。3回ぐらいは持つかな」と序盤でのKO勝ちまで予告していた。

◆井上尚弥のバンタム級4団体統一への道 WBO王者カシメロが14日にリゴンドー戦に臨むため、井上は今秋にWBC王者ドネアとの再戦を希望。井上陣営も11月頃、国内開催を目指し、試合会場の調整に入っている。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響もあるため、米国開催の可能性も残している。コロナ禍ながら年内にドネアとの統一戦が組まれることになれば、日本人初となる3団体統一のチャンス。そして来春、カシメロ-リゴンドー戦の勝者となるWBO王者との4団体統一戦の実現を目指している。井上はカシメロ-リゴンドー戦についてリゴンドー有利の予想をしているが「ドネアとカシメロに勝って4団体統一したい」との希望を持つ。