那須川の左ストレート、左カウンターはキックボクシング、ボクシング両方に通じる技術だと感じながら戦う姿を見ていた。スピード、反射神経、パンチを繰り出すタイミングといい、これはもう天性の素質といえる。格闘技界だけでなく、世間的にも知名度があるだけにボクシング界でも活躍する姿を期待されるだろう。もちろん、それに応えるだけのボクサーになると確信している。

現在のウエートから見て、ボクシングの階級でいえばバンタム級かスーパーバンタム級あたりを主戦場とするだろう。プロデビューの対戦相手も日本王者、東洋太平洋王者クラスと拳を交えても十分に勝てるはずだ。私は4年前、那須川を見た時に感じたことがある。75年にプロ3戦目で世界王座を獲得したムエタイ出身のサンセク・ムアンスリン(タイ)の記録に並ぶことができるのは、日本人で那須川しかいないと。ムアンスリンと同様、プロ3戦目に世界王座を目指すにはデビュー戦から日本、東洋太平洋王者らと拳を交えることを期待したい。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋ジム会長)