<新日本:キング・オブ・プロレスリング>◇8日◇東京・両国国技館◇9試合

 IWGPヘビー級王者・棚橋弘至(35)が大ピンチだ。IWGPヘビー級選手権で、挑戦者・鈴木みのる(44)の腕攻め、裸絞めに耐え、ハイフライフローを連発から29分22秒、片エビ固めで勝った。これで4回目、通算では24回目の防衛に成功した。

 だが、最大の敵は試合後にやってきた。高橋裕二郎(31)がリングに現れ、11月11日の大阪大会(ボディメーカーコロシアム)での挑戦者に名乗りをあげた。「お前には消せない過去がある」と9月17日の埼玉・所沢大会でフォール勝ちした実績をあげて挑戦表明。さらに「お前には10年前にも消せない過去がある」と、02年に別れ話のもつれから交際相手であった女性から背中を刺されて重傷を負った事件を持ち出した。

 棚橋は「確かに消せない。でも、俺は過去も、新日本も背負って生きている」と返して、事なきを得た。当時は新聞の社会面をにぎわせ、棚橋も解雇を覚悟したが、アントニオ猪木会長の「スキャンダルを肥やしにしろ」の一声で沈静化。その後、棚橋は自他ともに認める新日本のエースに成長した。

 数年前の暗黒時代を抜け出し、好調の新日本。今では、よき家庭人となった棚橋に、思わぬ高橋の攻撃。エースとして、家庭人として大ピンチだ。