<プロボクシング:WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇27日◇神奈川・とどろきアリーナ

 世界初挑戦の同級9位黒田雅之(25=川崎新田)が、王者フアン・カルロス・レベコ(29=アルゼンチン)に判定0-3で完敗した。「川崎から世界へ」の合言葉の下、会場はJ1川崎Fサポーターらの応援歌で盛り上がるなど独特の雰囲気だったが、ベルトには手が届かなかった。黒田は序盤から前に出たが、繰り出すパンチに合わされて反撃を受け、王者の技術の前に効果的な攻撃ができなかった。王者にはスタミナでも後手に回り、終盤に向けて手数で圧倒的な差をつけられた。判定もジャッジ2人が6点差、1人も4点差をつける完敗で、世界の壁の前に玉砕した。

 3度目の防衛に成功したレベコはプロ通算30勝(16KO)1敗。黒田は21勝(13KO)4敗2分け。<1回>

 レベコは左利きだがオーソドックススタイルで向き合う。ボディーなど重みのある左で攻める。黒田も前に出てパンチを繰り出して応戦した。<2回>

 黒田が立ち上がりに左ボディーから左フックと攻めてロープに追い詰める。しかし、攻めきれずリング中央に戻ると左を中心に、右ボディーも繰り出す王者の攻勢を受ける。だが、相手の右フックは大振りで何度も空振りさせた。やや王者が押し気味。<3回>

 ラウンド間にJ1川崎Fのマスコット・ふろん太がラウンドボーイを務める。ともにパンチを出すが有効打はなし。レベコは左目横から出血。会場は「クロダ」コールであと押し。<4回>

 黒田は王者のガードの上から連打を浴びせ、気迫を見せる。だが、王者のペースを崩すまでには至らず。王者は残り10秒から左ボディーから上下に連打を出し、黒田を追い込む。<5回>

 王者は黒田のパンチに合わせるように的確にジャブを当てる。残り1分前に王者がバランスを崩す場面があったが、黒田は攻めきれず。<6回>

 黒田は左右のボディーから接近し、打ち合いを挑む。レベコの側頭部から再び出血。黒田がやや盛り返す。<7回>

 王者が勢いを取り戻し、左のジャブで攻め込む。黒田は前のラウンドとは一転、接近できず、手数も減った。<8回>

 王者は左ボディー、左フックの上下の打ち分けに加え、右も当て始める。黒田は攻めるチャンスをつかみきれず、厳しいラウンド。<9回>

 王者はラウンドが進んでもまったく疲れた様子を見せない。左の上下3連打。右フックなど手数が増える。黒田も接近して左右ボディーからの左フックなど反撃を試みるが、流れは変えられなく苦しい展開。<10回>

 黒田は接近して小さなパンチを繰り出すが、レフェリーに分けられる。続く接近戦では王者にボディーの連打を浴びる。王者の側頭部からは出血が続くが、ダメージは感じられない。<11回>

 劣勢の黒田にセコンドからは「KOをねらえ」との指示が飛ぶ。だが、豊富なスタミナを誇る王者はさらにパンチの回転を挙げて、黒田を攻める。黒田も接近して反撃を見せるが、手数では後手に回る。<12回>

 意地で前に出て攻める黒田に対し、王者も逃げずに応戦。だが、王者にスキは見えず、決定打を放つことはできない。最後までパンチを繰り出したが、倒すことはできなかった。判定は3-0でレベコを支持した。