全日本が中国で、プロレスラーのオーディションを開催する可能性が高まったことが10日、分かった。一般客を対象に企画しているフィットネスセミナー「武藤塾」に、国内大手旅行会社から中国開催のオファーが届いており、武藤敬司社長(45)は「武藤塾をきっかけに、中国初のプロレスラーを発掘したい」と息巻いた。先駆けとして28日から3日間、内田雅之取締役が同旅行会社担当と現地に飛び、上海近郊の少林寺などを視察する。

 全日本が人口約13億の土地で、金の卵発掘に乗り出す。内田取締役は「詳細は今後の打ち合わせ次第だが、当然オーディションは視野に入れている」と話した。28日、少林寺で中国拳法を指導する師範代とも会い、交渉に突入する。武藤社長も「未知の世界だから、どうなるものか予想がつかない。だから面白い」とやる気満々だ。

 中国と全日本の懸け橋になったのはフィットネスセミナーの「武藤塾」だった。旅行会社担当者は「武藤塾参加者は当然格闘技に興味がある。参加人数も安定していて、ビジネスとしても安心できそう」と、企画している「少林寺見学ツアー」に組み込む意向で全日本にオファーを出した。

 同塾では番外編で新人オーディションも行っている。すでに出身者ではT28(24)ら5人がデビューを飾った。1月にも実施し、3人の入門が決まった。だが、武藤社長は「ちょっと小粒。年々質が落ちている」と不満を持っていた。それだけに中国というマーケットは魅力だ。8月の北京五輪では、金メダル数で米国を抜き、1位になるのではともいわれるスポーツ大国。素材はそろっている。

 開催時期は五輪以降を予定している。武藤は「どうせやるなら成功させて、1度で終わらせたくない」と、その先に中国初興行ももくろむ。全日本がプロレス未開の地で「プロレスLove」を開花させ、新たなスターを発掘する。【塩谷正人】