「日の丸」とともに日本のリングで復活だ!

 15日の「DREAM」旗揚げ戦(さいたまスーパーアリーナ)で約1年半ぶりに日本のリングに上がるミルコ・クロコップ(33=クロアチア)が日の丸を身に着けることになった。パンツの右前方に入る予定で、自身の長い格闘技人生でも他国の国旗を身に着けるのは初。大会前日となった14日は、出場全20選手が都内のホテルに勢ぞろい。旗揚げへ向け、新団体のボルテージは最高潮に達した。

 この舞台に復活をかける意気込みの表れといっていい。DREAM旗揚げ戦のリングに、ミルコが「日の丸」を身に着けて上がる。大きさは縦約5センチ×横約8センチほどで、パンツの右前方太ももの黒地部分に入る予定。これまでは母国クロアチアの国章である赤と白を基調としたデザインばかりだった。他国の紋章をつけて戦うのは、長い格闘技人生でも初めての経験だ。

 原点に戻るための決断だった。96年にプロファイターとしてデビュー。その強烈なハイキックで一躍、名をはせたのが日本だった。07年から満を持して乗り込んだ米国総合格闘技団体UFCでは1勝2敗という不振に陥ったが「(米国に)行って初めて、日本と日本のファンどれだけ支えられていたかを実感した」。強かった自分を日本で取り戻す―。その決意を、目に見える形で示すことを選んだ。

 今では大の親日家で「若いころはザグレブ(クロアチアの首都)以外なら米国に住みたいと思っていた。でも今は東京。実際に生活してみたいとすら思う」。13日の来日直後は成田空港から車で移動したが、都心に近づいてくるなり「東京タワーだ」。なじみのホテル近くになると「そこを左折すると着くよね」となじみきった様子。母国の紋章とともに日の丸を背負うことは、ミルコの日本に対する愛情の深さだ。

 前日会見では対戦相手の水野と初対面し、ガッチリと握手。「彼の勇気をたたえるとともに、ベストファイトをしてくれることを願う」とエールまで送った。復活をかけたゴングは今日、さいたまスーパーアリーナに鳴り響く。【山田大介】