WBA世界スーパーフェザー級8位の嶋田雄大(36=ヨネクラ)が「手紙作戦」で世界初挑戦のチャンスを手に入れた。同級王者エドウィン・バレロ(26=帝拳)の4度目の防衛戦(6月12日、日本武道館)の相手に決まったことを受け、22日、都内で会見。バレロ戦実現へ、帝拳ジムの本田明彦会長に何度も手紙を書いたことを明かした。待ちに待ったチャンスをものにし、日本人最高齢36歳10カ月での王座奪取を狙う。

 持ち前の粘りと執念が実った。デビューから23連続KOの最強王者バレロ戦。当初、対戦予定だった同級1位ペレス(アルゼンチン)の負傷で、嶋田にチャンスが巡ってきた。デビューから11年の36歳。待ちわびた世界初挑戦に「くじけそうな時に支えてくれた人がいた」と涙ぐんだ。

 熱意が伝わった。昨年1月にバレロの初防衛戦の相手に内定したが、右拳骨折でチャンスを逸した。以来、何度も、バレロの所属する帝拳ジムの本田会長に直筆の手紙で挑戦実現を訴えた。「失礼ながら、1年で2~3回、手紙を出しました。本田会長には心から感謝しています」と、挑戦者として抜てきされたことを喜んだ。

 昔から思い立ったら、即行動に移してきた。中学時代、マイク・タイソンにあこがれ、プロボクサーになることを決意。富山一高を卒業すると渡米し、ニューヨークのタイソンの自宅まで押し掛けた。門前払いで「弟子入り」の夢は砕け散ったが、1年半、弁当配達をしながら、ボクシングを学んだ。

 今回も本田会長への手紙だけではない。挑戦も決まってない段階で、バレロのビデオを何十回も見た。「ロープに詰めた時のプレッシャーとフェイントがすごい。でも癖も分かってます」。パワーとスピードではかなわない。「上回るところですか?

 いやらしいところですかね」とニヤリと笑った。

 日本王座を返上し、世界挑戦のチャンスを待ってから約4年。このクラスは選手層が厚く、なかなか世界戦に手が届かずに腐りかけたこともあったが、引退を考えたことは1度もなかった。「ネバーギブアップの精神で、ここまできた。中学時代から20年越しの夢のスタートラインに立てた」。36歳10カ月での王座奪取となれば、日本人最高齢記録。執念の男が、世紀の大番狂わせを狙う。【田口潤】