<新日本:東京大会>◇17日◇東京・両国国技館◇1万1500人

 新日本にニューヒーロー誕生だ。後藤洋央紀(29)がG1クライマックス史上初となる初出場初優勝の偉業を達成した。Bブロック最終戦で永田裕志(40)を撃破し決勝に進出。決勝では極悪軍団GBHのリーダー真壁刀義(35)を22分25秒、昇天・改からの片エビ固めで3カウントを奪った。試合後はテレビ解説で来場していたIWGPヘビー級王者武藤敬司(45)に向かい、王座奪還を宣言した。

 場内に大「後藤コール」が響き渡った。真壁のフェイスクラッシャーに流血しながら猛反撃。最後は岩石落とし2連発からラリアットを挟み、逆転の「昇天・改」2発でタフな真壁をマットに沈めた。試合後、頭部を包帯で巻いた後藤はリング上から武藤を指さし「おい武藤、G1とったぞ。8月31日、きっちりオレが取り返すからな」と、全日本両国大会での王座奪還を宣言した。

 初出場初優勝はG1史上初の快挙だ。29歳1カ月での初戴冠は蝶野正洋(44)の27歳10カ月に次ぎ史上2番目の若さ。後塵(こうじん)を拝してきた同世代中邑真輔(28)に先んじての制覇に「若手時代から一緒に戦ってきた。何か近づいたような。これからも競い合ってプロレス界を引っ張っていきたい」と誓った。

 予兆はあった。今年から息抜きに競馬を始めた。5月に初めて「G1」レースのオークスを買った。すると3連複、3連単でずばり的中。1万5000円が11万円になった。今回、こちらも初の「G1」で同ブロックの天山、永田が負傷、中邑の取りこぼしなどで優勝賞金1000万円を獲得した。実力に加え「運を味方につけた」と言う後藤が、プロレス界新時代の扉をこじ開けた。【塩谷正人】