<プロボクシング:WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇16日◇東京・代々木第1体育館
強すぎる!!
WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(27=真正)が2戦連続の2回TKO勝利で、7度目の防衛に成功した。同級2位アレハンドロ・バルデス(メキシコ)から強烈な左フックでダウンを奪い、最後は2分41秒、連打でレフェリーストップを呼び込んだ。苦手のサウスポーと世界戦では初対戦だったが、全く問題にしなかった。
4カ月前の再現VTRを見ているようだった。2回。距離が初めて縮まった瞬間を、長谷川は見逃さなかった。宝刀の左を側頭部に突き刺し、バルデスをコーナーに吹っ飛ばすダウン。さらに高速連打を浴びせ、わずか341秒で試合を終わらせた。6月のファッシオ(ウルグアイ)戦と同じ2回TKO防衛。王者は息ひとつ乱れていなかった。
「サウスポーはやりにくかった。1回が終わって、こんな結果になるとは思わなかった。緊張で体が硬かった。後半、乱打戦になると思っていた」。それでもギアを切り替えると、挑戦者との差は明らかだった。初の年間3度の防衛に成功。V7は現役最多、国内4位の連続防衛となり、また1つ新たな歴史を刻んだ。
「苦手」と言い切るサウスポー相手は04年の鳥海純戦以来プロ2度目。世界戦8試合目で初めて挑戦者に選んだのは、狙いがあった。来年1月にも国内での激突が濃厚な同級1位マリンガ(南アフリカ)は、サウスポーの強豪。対策を万全に整え、指名試合で迎え撃つプランだ。予行演習は最高の結果で終わったが「次の試合に備えて、長いラウンドをやりたかった」とも漏らした。強すぎるがゆえの、ぜいたくな悩みだ。
夫婦で約束を交わした。試合後、11日に3歳の誕生日を迎えた長女穂乃(ほの)ちゃんを初めてリングに上げた。妻泰子さん(29)と「KOしたら上げよう」と話していた。泰子さんの8月の誕生日は上京しており一緒に祝えず、プレゼントも渡せなかった。長谷川は「この勝利を泰子に贈ります」と照れ笑いした。
「海外挑戦も(2階級制覇を目指して)階級を上げることも、チャンスがあればやりたい。防衛を続けるなら2ケタは行きたい」。唯一ともいえる“弱点”を克服し、もはや死角は見当たらない。名王者の領域に足を踏み入れた日本のエースには、無限の可能性が広がっている。【大池和幸】

