日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長は27日、元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(38)の再起戦を強行したタイのプロモーター管轄の選手を招聘(しょうへい)禁止にする考えを明かした。今週中に事情聴取をした上で、正式に決定する。

 JBCは当初から、国内ライセンスが失効した辰吉の再起戦には反対だった。WBCのスライマン会長とともに、試合の中止を要請してきたが、試合は強行された。安河内事務局長は「考えが伝わらず、大変遺憾だし、残念」とした。今後、事情を聴いた上で、再起戦をプロモートしたチュワタナジムのアンモ会長に対して、厳しい処分を出す。来日するタイ人選手の約7割が、同ジム所属選手だけに、日本のリングからタイ人選手が激減する可能性も出てきた。

 JBCがこれだけの強硬措置に出るのには理由がある。今回の試合をきっかけに、日本のライセンスを持たない選手が、無制限に海外で試合をする事態を恐れる。「万一の事故が起きてからでは遅い」と安河内事務局長。ボクシング=危険とのイメージを持たれないためにも、世界的に健康管理には厳格になっている。いまだにカリスマ的な人気のある辰吉だが、年齢的にも健康面の不安は大きいだけに「例外」扱いはしない。