<プロボクシング:東日本新人王>◇決勝◇2日◇後楽園ホール

 バンタム級の古橋大輔(21=新田)が同門対決を制し、東日本新人王を獲得した。同じ新田ジム所属で、中学校の野球部の先輩でもある片桐秋彦(22)を3-0の判定で破った。試合後は先輩と抱き合って、涙を流した。東日本勝者は12月21日、東京・後楽園ホールでの全日本新人王決定戦に出場する。

 非情に徹した。同じ新田ジム同士の同門対決。後輩の古橋は開始から接近戦を挑んだ。4回には先輩片桐が鼻血を出したが、構わず前に出た。最終5回のラスト30秒は、足を止めて殴り合った。3-0の判定勝利。試合が終わると、涙が止まらなかった。

 川崎市立稲田中学時代は野球部の先輩後輩だった。偶然、同じジムでボクシングを始めた2人は、支え合って、苦しい練習に耐えてきた。常に行動も一緒だったが、1日の計量後、いったん先輩後輩の関係を捨てた。「仲良くするのは試合が終わるまでなし」と誓い合って試合に臨んだ。

 東日本新人王に輝いた古橋は「リングでは、ただの対戦相手と思って、力を出し切った」と、今後は先輩片桐のためにも、12月の全日本新人王獲得を誓った。同ジムの新田渉世(しょうせい)会長(41)は「子供同士が戦うようなもので、胃は痛いし、しんどかったが、正々堂々の戦いをしてくれた」とたたえていた。