【ラスベガス(米ネバダ州)27日(日本時間28日)=山田大介】北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧(22=国士舘大4年)が、米国総合格闘技UFCと「独占交渉契約」を結んだ。27日に前UFC世界ヘビー級王者ランディ・クートゥア(45=米国)のジムを訪問して、スパーリングを志願。約2時間の練習で石井の実力を認めたクートゥアが同団体トップに推薦し、同夜急きょUFC側の代理人が独占交渉契約に訪れ、石井もサインした。契約金などは今後の交渉になるが、これで「UFCの石井」誕生が確実になった。石井は29日に帰国する。
電撃契約だった。ラスベガスで開催された27日のUFC92大会後、石井のマネジメントを務める谷前信治氏の元にUFCから連絡が入った。「会って直接話したい」。急きょ帰国前夜の午後11時から、石井と谷前氏はロレンゾ・フェティータ・オーナーの代理人と約3時間ほど会談。独占交渉契約の書面に石井が漢字の自筆でサインをした。契約を終えた石井は「超うれしいです」と満面の笑みで話した。
きっかけは27日の午後に実現した同団体前世界ヘビー級王者ランディ・クートゥアとの初対面だった。クートゥアが主宰するジムを訪問した石井は当初、施設見学と軽めの練習を行うだけの予定だったが、突然「ランディさんとスパーリングしたいです」と要求。突然の申し出に前王者も「分かった。ちょっと待て」と練習着に着替え、練習用のオクタゴン(金網八角形リング)に入った。
グラウンドでのスパーリングやミット打ちなど2人の練習は約2時間にも及んだ。クートゥアは「グラウンドでのバランスが非常にいいし強い。すばらしい才能を持っている」と石井を絶賛。その後、ロレンゾ・オーナーに「彼はすばらしい逸材」と伝えたことで事態は急転した。前王者の進言に同オーナーの行動は早かった。「使者を通じて『他の団体と話はしないでほしい』という話をされた。『石井を育てたい』という誠意が感じられたので『独占交渉契約』という形で話をまとめた」(谷前マネジャー)。石井も「百聞は一見にしかずですよ」と胸を張った。
現状では「他団体とは交渉しない」という契約で、専属選手契約ではない。「契約金や期間などの条件面は今後詰めていくことになる」と谷前マネジャー。当初は29日の帰国後、来年3月の国士舘大卒業を待って再渡米する予定だったが、同団体ダナ・ホワイト代表から年明け早々にも米国で練習するよう進言されたこともあり「1月には戻って(拠点を)決めたい」(石井)と予定を早める可能性も出てきた。「こんなに早く話が進むとは思わなかったです」と石井。3泊5日のラスベガス弾丸ツアーは最高の収穫になった。

